外国語能力は母語能力を超えられるか

 
前回と同じようなグラフですが、X軸を母語(我々であれば日本語)、Y軸を外国語としています。
 
国語学習本の多くの本で、「外国語能力はその人の母語の能力を超えることはできない」と書かれているのを見かけますが、その根拠が書かれているものにはお目にかかったことがありません。
 
グラフで言えば、Y=X の直線の上の部分に行くことはできないということになります。
 
これは感覚的には正しいような気がしますが、本当のところはどうでしょうか。
 
「能力」の定義をはっきりさせないと議論はいつまでもモヤモヤ状態でしょう。
 
例えば海外の大学に進学してそこで自分の専門の研究を行った場合、日本語では知らない専門用語をたくさん覚えます。よって語彙の観点からは(少なくとも専門用語の分野に於いては)外国語が母語の能力を超えることはあるということです。
 
あるいは、英語を身につけた人の日本語は理路整然としていて分かりやすいと良く言われるのは、(外国語能力とはちょっと外れますが言語活動の重要な部分と言える)論理的に説明する能力を外国語で身につけて、それが母語に影響しているケースだと言うことができるでしょう。
 
発音が母語に引っ張られて外国語のネイティブのようにならないというのはちょっと違う問題だと思います。(そもそもネイティブのような発音にすべきものかという議論もあるでしょう)
 
新しい単語の意味・概念を母語に引き寄せて理解する部分は多いので、母語の制約から離れてどんどん拡がっていくことは考えにくいですが、いずれにせよ定義をしっかりした上で議論すべきテーマだと思います。
 
 

 
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